皆さん、日頃RAW現像を行う際に書き出した写真をスマートフォンで見た時に、「なんか色が少し違うなぁ」「スマホではすごく鮮やかなのに、PCでは普通だなぁ」など、違和感を覚えたことはありませんか?
その違和感、もしかするとRAW現像しているディスプレイに問題があるかもしれません。
もちろん、気にしない、ということも大切です。ですが気になった事がある方は一度考えてみるのも有りです。
初心者、中級者の方はさらなるステップアップに今回の記事を参考にしてください!
1. はじめに: RAW現像に適したディスプレイ選びの重要性
RAW現像をする際に、ディスプレイの色再現性がとても大切です。写真を撮ったそのままの美しい色合いや、細かなディテールを正確に表現するためには、信頼できるディスプレイで作業を行う必要があります。特にRAWデータは、JPEGとは異なり、色や明るさの補正が必要です。ですので、作業するディスプレイの色がズレていると、実際にプリントしたときや他のデバイスで表示したときに、思っていた色と違ってしまうことがあります。
「色がズレていたら、どんなに一生懸命補正しても意味がない!」なんてことにならないよう、RAW現像においては色の正確さがカギとなります。そのため、自分の作業に最適なディスプレイを選ぶことが、クオリティの高い写真を仕上げる上で欠かせません。
2. 色空間の違いを理解しよう: Adobe RGB、sRGB、DisplayP3とは?
RAW現像においてディスプレイ選びで重要なポイントの一つが「色空間」です。色空間とは、ディスプレイやカメラが表示・記録できる色の範囲のことを指します。代表的な色空間には、Adobe RGB、sRGB、そしてDisplayP3の3つがあります。それぞれがどのような特徴を持っているのか、理解しておくことで、あなたの作業に最適なディスプレイを選べるようになります。
1. Adobe RGB
Adobe RGBは、プロのカメラマンやデザイナーによく使われる色空間です。特にプリント向けに最適化されており、sRGBよりも広い色域を持っています。特に鮮やかな緑や青の再現に優れているため、自然の風景やアート作品を現像する際に有利です。
2. sRGB
sRGBは、最も一般的な色空間です。ウェブサイトやスマートフォン、一般的なモニターで表示される写真は、ほとんどがsRGBで表示されます。色域が比較的狭いため、Adobe RGBやDisplayP3ほどの表現力はありませんが、ウェブに公開する写真や一般的な用途には十分な色再現性があります。
※Webと書いてありますが、SNSのアプリケーションもこのsRGBを基準にしています。
3. DisplayP3
DisplayP3は、Apple製品を中心に使われる色空間です。Adobe RGBと同様に広い色域を持ち、特にモバイルデバイスやデジタル表示向けに最適化されています。DisplayP3に対応したディスプレイは、鮮やかでリッチな色彩を提供してくれるため、デジタルデバイスでの表示を重視する人にとって魅力的です。
この色空間の違いにより、PCで見た色味とスマートフォンで見た時の色味が違う原因にもなっています。
もちろん、デバイスの個体差も大きいため、完全に色を一致させることはプリント以外ではほぼ不可能です。
3. RAW現像におすすめのディスプレイ3選
1. BenQ SW271C
BenQは、カラーマネジメントディスプレイで有名なメーカーです。このSW271Cは、27インチの4K解像度で、Adobe RGBに99%対応しているため、プロフェッショナルな写真編集に最適です。また、Display P3にも対応しているため、幅広い色域をカバーし、カラフルなデジタルコンテンツを扱う際にも役立ちます。さらに、ハードウェアキャリブレーション機能も搭載しているため、長期間にわたり正確な色再現が可能です。
おすすめポイント: 広い色域と4K解像度、キャリブレーション機能
2. EIZO ColorEdge CS2740
EIZOは、カラーマネジメントの分野で特に信頼性が高いブランドです。このモデルは、27インチの4Kディスプレイで、Adobe RGBに99%対応しており、非常に広い色域を持っています。また、EIZOのディスプレイは非常に正確なキャリブレーションが可能で、専用のソフトウェアを使うことで細かな色調整が簡単に行えます。特にプリント出力を考慮したRAW現像を行う方には、非常におすすめです。
おすすめポイント: 高精度のキャリブレーション機能と安定したパフォーマンス
3. ASUS ProArt PA279CRV
カラーマネージメントディスプレイは精度が求められるため、非常に高額です。
ASUSのPA279CRVは27インチの大画面で、4Kの解像度ながらコストパフォーマンスに優れています。
さらに、Adobe RGBは99%準拠、DisplayP3も99%準拠しているため、正確な色を再現可能です。
また、VESAマウントを使用可能のため、デスク上もスッキリさせる事が可能です。
おすすめポイント: コストパフォーマンス高い。VESAマウント可能。
4. Apple Pro Display XDR
AppleのPro Display XDRは、DisplayP3に対応し、極めて広い色域をカバーしています。このディスプレイは、RAW現像だけでなく、映像編集やグラフィックデザインなど、さまざまなクリエイティブな作業に最適です。32インチの大画面で6K解像度を持ち、非常に鮮明な表示が可能です。また、1000ニトの持続輝度で、ハイダイナミックレンジ(HDR)コンテンツにも対応しています。価格は高めですが、プロフェッショナルな環境で使いたい方には最適な選択肢です。
おすすめポイント: 6K解像度の大画面と高い輝度、DisplayP3対応
4. ディスプレイキャリブレーションの必要性
RAW現像や写真編集において、ディスプレイの色が正しく表示されていなければ、いくら丁寧に補正しても思い通りの仕上がりにはなりません。これを防ぐために重要なのが、ディスプレイのキャリブレーションです。
キャリブレーションとは?
キャリブレーションとは、ディスプレイが正しい色を表示するように調整することを指します。特に、RAW現像やプリント出力を考える場合、ディスプレイ上の色とプリント結果の色が一致しないという問題がよくあります。このズレを解消し、作業する写真が常に正確な色で表示されるようにするために、定期的なキャリブレーションが必要です。
キャリブレーションを行う理由
ディスプレイは、長期間使用していると少しずつ色味が変わってきます。色が黄ばんだり、暗くなったりすることがあり、特にRAW現像のような色の正確さが求められる作業においては、このズレが大きな問題になります。キャリブレーションを行うことで、ディスプレイの色表示を工場出荷時のように正確な状態に戻すことができます。
このキャリブレーションについては後日まとめます。
5. まとめ: 自分に合ったディスプレイでRAW現像をもっと楽しもう
RAW現像を行う際に、ディスプレイ選びがいかに重要かが理解できたでしょうか?自分の作業スタイルや目的に合わせて、最適なディスプレイを選ぶことで、より正確で美しい写真に仕上げることができます。
まず、Adobe RGBやDisplayP3といった広い色空間に対応したディスプレイを使えば、特にプリントやプロフェッショナルな現像作業で、大きな違いを実感できます。また、普段の作業がウェブ用途中心であれば、sRGB対応ディスプレイでも十分に美しい色表現が可能です。
さらに、どんなに高性能なディスプレイを使っていても、キャリブレーションを怠ってしまうと、正確な色再現ができません。定期的にキャリブレーションを行うことで、ディスプレイの性能を最大限に引き出し、常に一貫した色表現を保つことができます。
あなたの現像作業がもっと楽しく、もっと満足のいくものになるよう、ぜひ今回紹介したディスプレイやキャリブレーションのポイントを参考にしてみてください。色のズレに悩まされることなく、RAW現像の自由さを存分に楽しんでくださいね!