
こんにちは!monocam magazineです。
先日、キャリブレーションツールについて記事を作成しましたが、いろいろ調べていて思ったことがありました。
「DatacolorのSpyderって製品多くて何が何か分からないなぁ...」
Amazonで検索すると同じシリーズで沢山製品が出てくるので混乱をしていました。
ということは、皆さんもきっと混乱をしていると思いますので、自分なりに整理してみましたのでぜひ参考にしてみてください!
モニターキャリブレーションの重要性とSpyderシリーズの魅力
写真や映像を扱う方にとって、モニターの色再現性は非常に重要です。思い通りの色で仕上げた作品が、他の環境で見たときに違って見える…そんな経験はありませんか?
Datacolorの「Spyder(スパイダー)」シリーズは、モニターの色を正確に補正するためのキャリブレーションツールです。初心者からプロフェッショナルまで、幅広い層に支持されている理由は、その精度と使いやすさにあります。
今回は、最新のSpyderX Pro、SpyderX2 Elite、SpyderX2 Ultraを中心に、それぞれの違いをわかりやすくご紹介します。
Datacolor Spyderシリーズとは?

Spyderシリーズは、Datacolor社が提供するモニターキャリブレーターです。モニターの色ズレを補正し、正確な色で作業を行うことができます。写真編集やグラフィックデザイン、映像制作など、色の再現が大切な分野で特に重宝されています。
現在主に流通しているモデルは以下の通りです。
【現行品】
- Spyder:基本的なキャリブレーションを簡単に行いたい方向け
- Spyder Pro:より高度な色管理が求められるクリエイター向け
- Spyder Celebration Kit:撮影から編集まで、写真の精密なカラー管理の基本を網羅しています。
【旧製品】
- SpyderX Pro:基本的なキャリブレーションを簡単に行いたい方向け
- SpyderX2 Elite:より高度な色管理が求められるクリエイター向け
- SpyderX2 Ultra:HDR制作やスタジオレベルの色管理を行いたいプロ向け
Spyderの特徴とおすすめユーザー
「写真愛好家の第一歩を支える入門機」
カラーキャリブレーションの本質である「モニターの色ズレ修正」に特化し、複雑な設定を排除した設計。Apple XDR/Liquid Retinaディスプレイ対応で、最新機種にも柔軟に対応します。
特徴
- 基本的なモニターキャリブレーションに対応
- マルチモニターのキャリブレーションが可能
- コストパフォーマンスが高い
こんな方におすすめ
- 写真家、カメラマン
- デザイナー
- 動画編集初心者
Spyder Proの特徴とおすすめユーザー
「映像制作の色基準を支える業界標準ツール」
Rec.709/2020規格準拠のキャリブレーション機能を搭載。HDR2000(2,000cd/m²)対応でNetflix等のストリーミング規格要件を満足します。
特徴
- StudioMatch™:異機種モニター間で色一致を実現
- ビジュアル微調整機能:RGB値を見ながら手動補正可能
- プロジェクター対応:会議室/試写室の投影環境を最適化
こんな方におすすめ
- カラーマネジメントにこだわるデザイナー
- 映像制作を行う中~上級者
- 色空間に厳密な調整が必要なクリエイター
Spyder Celebration Kit 特徴とおすすめユーザー
「撮影→現像→出力の色連鎖を断ち切らない」
キャリブレーターに加え、Spyder Checkr 24(カラーチェッカー)とSpyder Cube(ホワイトバランス補正)を同梱。金属ケースによる携帯性向上が特徴ます。
特徴
- RAW現像最適化:Checkr 24で取得した色データをLightroom連携
- 劣化検知機能:FadeCheckrパッチでインク/紙の経年変化を監視
- Cubeで撮影時ホワイトバランス設定
- Checkrで現像用カラープロファイル生成
- Spyderで出力環境を調整
こんな方におすすめ
- 商品撮影専門カメラマン
- Eコマース出品者
- カタログ制作会社
【比較表】Spyderシリーズを徹底比較
製品名 | 対象ユーザー | 最大輝度対応 | 接続方式 | 参考価格(税込) |
---|---|---|---|---|
Spyder | 初級~中級(写真) | 750cd/m² | USB-C(Aアダプタ付) | 約32,800円 |
Spyder Pro | 中級~上級(写真・映像) | 2,000 cd/m2 | USB-C(Aアダプタ付) | 約52,200円 |
Spyder Celebration Kit | 上級~プロ(HDR制作) | 750cd/m² | USB-C(Aアダプタ付) | 約38,800円 |
(旧製品)SpyderX Pro | 初級~中級(写真) | 750cd/m² | USB Type-A | 約27,500円 |
(旧製品)SpyderX2 Elite | 中級~上級(写真・映像) | 750cd/m² | USB Type-C | 約48,000円 |
(旧製品)SpyderX2 Ultra | 上級~プロ(HDR制作) | 2000cd/m² | USB Type-C | 約52,000円 |
モデル選びのポイント:目的別・予算別ガイド
選び方のポイントは「用途」と「予算」です。
- 色補正の精度よりも簡単さ重視 → Spyder
- 写真・映像・デザインとマルチに使いたい → Spyder Pro
- 印刷物との色一致が必要 → Celebration Kit
迷ったときは、「自分の作品がどれだけ色に依存しているか」を基準に選ぶと良いですよ。
注意点:測色センサーに内蔵されるフィルターの違いについて

キャリブレーションツールには色を測定するためのセンサーが搭載され、特定の波長の光を透過させるための部品に種類があり、それぞれ特徴があります。
カラーフィルター方式(ゼラチンフィルター方式)
RGBなどの色に対応した複数のフィルターを機械的に切り替えながら測定する方式です。比較的安価で普及していますが、分光式に比べると測定精度がやや劣ると言われています。また、経年によりフィルターが劣化していきます。
今回ご紹介したSpyder製品は過去製品はゼラチンフィルターであることが技術仕様で公開されていました。現行品については記載が見つかりませんが、同様と推測されます。詳しくはメーカーへお問い合わせください。
分光式(スペクトル方式)
光をプリズムや回折格子などを用いて細かく分光し、連続的なスペクトルデータとして測定する方式です。より高精度な測定が可能で、広色域モニターのキャリブレーションなどで特に有効ですが、一般的に高価になります。
X-Rite i1 Displayは分光式のツールです。現在はCalibriteという新しいブランドで展開しています。
まとめ:あなたにぴったりなSpyderを選ぶには?
Spyderシリーズは、カメラ中級者からプロの映像制作者まで幅広いニーズに応えるラインナップが揃っています。それぞれのモデルには明確な違いがありますので、この記事で紹介した特徴を参考に、ぜひあなたにぴったりの1台を見つけてください。
色の再現性を高めることで、あなたの作品の魅力がより一層伝わるようになります。
番外編:買うのはちょっと...という方は
色を直すツールに3万円、5万円はちょっとお高い...でもソフトウェアキャリブレーションでは物足らない... といった方もたくさんいらっしゃると思います。
そんな方は旧製品ではありますが、レンタルという手段もあります。
旧製品、管理がどうなっているか、がマイナスポイントですが、単発で簡易的に使用するなら数千円で使用することも可能です。
ひとまず使用してみたい方はレンタルという手段も検討してみてください。
※単発利用を5回以上、継続利用を10回以上の場合は現行品を買う方がお得です。
